施主様を毎日出迎えるエントランスは、純和風に、そして空間を広くとりました。
高い天井は、匠の技術を結集させた「格天井」。お寺の天井に使われる組み方です。
そこかしこに配置された和の建具と照明が、なごみの空間を演出します。

二階の天井には大きな松の梁が渡してあり、古民家風に仕上がりましたが、Ｎ様たってのご希望により、この梁はこのまま着色しません。
「時間が経つごとに、木の風合いは変化していくのよ。それが楽しみなの」
自然に息づく木の家に暮らしたいと願う、Ｎ様のこだわりです。

通常、窓は片側だけしか開かないタイプで施工することが多いのですが、Ｎ様邸ではガラス戸、障子、ふすまを壁の中へ収めることにより、全開放型の窓を実現しました。
もちろん、これも施主様であるＮ様のご希望です。
全開放型の窓からは、明るい日の光とやわらかい風が入ってきます。

家をぐるりと囲む趣ある板塀の内に、坪庭をしつらえました。
龍のひげを敷き詰め、石灯籠と奇岩を配した和風庭園に、白いしゃくなげが清楚な花をゆらします。和室からこの風景を眺めていますと、現実のあわただしさを忘れてしまいそうです。